ニュースで「出生数が過去最少」って言ってたけど、どのくらい深刻なんだろう?
事実、昨年1年間に生まれた子供の数は75万8,631人と過去最低を記録しました。
長寿国として知られる日本ですが、実は「死亡数」も年々増加しているため、2070年には人口が8,700万人になると言われています。
これは2070年までに人口が3,630万人減少するということですが、3,630万人とは東京都の人口の2.6倍という恐ろしい数字です。
かつて国立社会保障・人口問題研究所は出生数が76万人を割り込むのは2035年と予想していましたが、すでに2023年で達成しまったため、10年以上も外れてしまったのです。
これは日本の人口が減り続けていることを示唆し、社会保障制度や経済に大きな影響を与ることでしょう。
人口減が引き起こす様々な課題について、一度立ち止まって考えていみる良い機会になりますので、ぜひ最後までお付き合いください
【最新版】日本の出生数と死亡数、過去10年間の推移を棒グラフで視覚化
インフォグラフィックの見方
白棒・・・BIRTHS(出生数)
黒棒・・・DEATHS(死亡数)
Mは100万人、Kは1,000人を表す
例:2023年
BIRTHS(出生数)、759K(75万9千人)
DEATHS(死亡数)は1.6M(160万人)
インフォグラフィックを表にして「自然増減 出生数-死亡数(人)」を追記しました。
年 | 出生数 (人) | 死亡数 (人) | 自然増減 出生数 – 死亡数(人) |
---|---|---|---|
2013 | 1,029,817 | 1,376,554 | -346,737 |
2014 | 1,003,609 | 1,384,931 | -381,322 |
2015 | 1,005,721 | 1,405,072 | -399,351 |
2016 | 977,242 | 1,428,060 | -450,818 |
2017 | 946,146 | 1,463,873 | -517,727 |
2018 | 918,400 | 1,493,140 | -574,740 |
2019 | 865,239 | 1,519,227 | -653,988 |
2020 | 840,835 | 1,511,209 | -670,374 |
2021 | 811,622 | 1,574,533 | -762,911 |
2022 | 770,759 | 1,567,933 | -797,174 |
2023 | 758,631 | 1,590,503 | -831,872 |
2022年から出生数は死亡数の半分以下になっています。10年前と比較して数字から読み取れるものは、
- 出生数 → 26.3%減少
- 死亡数 → 15.5%増加
- 自然増減 → 自然減で2.4倍
日本の出生数と死亡数の最新統計
ここで、2023年の出生数と死亡数の最新の統計から、過去との比較、他国との比較も見ていきましょう。
2023年の出生数と死亡数の概要
2023年、日本の出生数は75万8,631人で過去最少となり、死亡数は159万503人で過去最多となりました。
これは、少子高齢化が加速していることを示す深刻なデータです。
要因は以下の通りです
- 出生数の減少
-
- 働く女性を支援しない企業文化
- 小さな子供に対する社会の寛容の欠如
- 経済的な不安定感
- 結婚年齢の上昇
- 死亡数の増加
-
- 高齢化社会の進展
- 医療技術の進歩による平均寿命の延伸
出生数の減少と死亡数の増加は、日本の将来人口に大きな影響を与え、社会構造や経済活動に深刻な変化をもたらす可能性があります。
過去との比較
過去のデータと比較すると、1974年のベビーブーム終了以降、人口の減少傾向が顕著に表れています。
1980年代頃から深刻になってきた少子高齢化。2007年以降は死亡数が出生数を上回る「自然減」の状態となり、その差は拡大を続けている。
2010年には100万人を超えていた出生数は、2020年には80万人台にまで減少しました。
死亡数は、2010年には120万人台でしたが、2020年には140万人台にまで増加しています。
他国との比較
他の先進国と比較すると、日本の出生率は非常に低い水準です。
OECD加盟国の出生率平均1.67人 > 日本の出生率1.33人
一方、死亡率はOECD平均と比較して高い水準です。これは、日本の高齢化が進んでいることを示しています。
少子化の背景
少子化の背景には、コロナ禍や婚姻数の減少、そして出産適齢期の人口減少が挙げられます。
それぞれが複雑に絡み合い、少子化の進行を加速させています。
少子化の原因は多岐にわたり、簡単には解決できない問題です。
- コロナ禍の影響
- 婚姻数の低下がもたらす結果
- 出産世代の減少
これらの要因を考慮することで、少子化がどのように進行しているかをより深く理解することができます。
コロナ禍の影響
コロナ禍の影響で、結婚や出産に対する不安が一層高まったことが少子化に拍車をかけています。
特に、経済的な不安や社会的な混乱が、若い世代に深刻な影響を与えました。
- 結婚を延期する傾向が強まった
- 出産に対する経済的不安が増加
- 不確実な将来への懸念
たとえば、2020年から2022年にかけて、結婚を予定していたカップルが結婚式を延期するケースが増えました。
さらに、経済的な見通しが不透明な状況が続いたため、子どもを持つことに対する不安も強まりました。
その結果、少子化が一段と進行している現状です。
コロナ禍の影響は、結婚や出産に対する社会的な意識をも変えています。
婚姻数の低下がもたらす結果
婚姻数が減少することで、出生数も同時に減少するという結果が生まれています。
特に、晩婚化や未婚化がこの現象を加速させています。
- 未婚化の進行
- 晩婚化により出産の機会が減少
- 育児支援や制度の不十分さが影響
たとえば、特に都市部で未婚率が高く、結婚や出産を望まない人が増えている傾向があります。
また、晩婚化の影響で子どもを産むタイミングが遅れ、出産数が減少している現象も見られます。
このような社会的な動向は、少子化の進行に大きく寄与しています。
この流れを食い止めるためには、婚姻や出産を促進するための支援が必要です。
婚姻数の減少は、長期的な出生数の減少を引き起こす大きな要因です。
出産世代の減少
出産適齢期にある世代の人口が減少していることも、少子化を加速させる要因です。
これにより、自然に子どもの数が減少していくことが避けられない状況となっています。
- 出産適齢期の人口の減少
- 若い世代の価値観の変化
- 出産・育児環境の悪化
たとえば、1970年代から80年代に生まれた世代の人口が、2023年にかけて減少しているのが現状です。
また、若い世代の価値観の変化が、結婚や出産に対する意欲を低下させています。
これらの要因が複合的に働き、少子化は今後も進行する可能性が高いと見られています。
この状況に対応するためには、政府や社会全体の取り組みが必要です。
人口減少は、地域経済の活性化を阻害し、地域社会の維持が困難になる可能性があるため、地方自治体と政府が一体となり、地方の人口減少に対応するための対策を講じる必要があります。
人口減少による深刻な影響
社会保障制度への影響
少子高齢化が進むことで、日本の社会保障制度に大きな負担がかかります。
高齢者の増加に伴い、医療費や介護費などの社会保障費の支出は増加し、現役世代の負担が増加します。
社会保障制度の維持には、財源の確保が課題となります。
経済への影響
人口減少は、日本の経済に大きな影響を与えます。
特に生産年齢人口の減少は、労働力不足を引き起こし、経済成長が鈍化する可能性があります。
また、消費支出の減少も懸念されます。人口減少は、日本の経済構造や産業構造に大きな変化をもたらす可能性があります。
地方自治体への影響
人口減少は、地方自治体の運営に大きな影響を与えます。
人口減少により
税収が減少し
地方自治体の財政状況が悪化する
少子高齢化、人口減に対する未来への展望
出生数増加のための政策
出生数を増やすためにはどうすればいいでしょうか?
まず、政府が主導となって取り組むべきこととして、
- 子育て支援の充実
- 女性の社会進出の促進
- ワークライフバランスの改善
など、様々な政策を推進する必要があります。
具体的な「子育て支援」対策として、
- 保育所の整備
- 保育料の負担軽減
- 育児休業制度の充実
などが挙げられます。
女性の社会進出を促進するためには、女性の雇用機会の拡大や女性の管理職登用を促進する必要があります。
ワークライフバランスの改善には、柔軟な働き方や育児休業制度の利用促進などが重要です。
また、コロコロ変わる政策は「数年後にどうせなくなるんでしょ」と思われるため、「今後10年は変えません!」と、しっかりと期限を明示することも重要ですね
働きやすい環境作り
出生数増加に向けた働きやすい環境作りのための施策としては、
- 育児休業制度の充実
- 育児休暇取得の促進
- 保育所の整備
- フレックスタイム制の導入
などが挙げられます。
これらの施策により、子育てと仕事の両立を支援し、安心して子どもを産み育てられる環境を整備することが重要です。
民間企業による「異次元の少子化対策」
玩具メーカーである「タカラトミー」は、社員の出産や育児を支援することを目的として「出産育児祝い金」を新設。
一子につき200万円を支給するという太っ腹な制度を発表した。
と、ここまでは過去にも聞いたことがあるような話なのですが、すごいはここからです!
なんと同社は、育児で休業・短時間勤務をする人を「カバーする社員」にも応援手当を支給するという!
実はこの「育児で仕事離れます問題」、以外にも女性同士によるトラブルが多いそうです・・・。
それさえも解決しようとするタカラトミーに、ネット上では、
「こんな会社で働きたい」
と、称賛の声が多かったそうです。
このように、政府だけに少子化対策を押し付けなくても民間で出来ることはありますし、工夫次第で良い人材を集めることができるのです!
まとめ
日本は「少子高齢化」と「人口減」が進む、世界でも珍しい国の一つです。
先進国もいつかは日本のようになることが予想されるため、現在の日本の対策に世界が注目しています。
今回のまとめです。
- 出生数と死亡数の現状は、少子高齢化が加速していることを示している
- 出生数の減少と死亡数の増加は、社会構造や経済活動に深刻な変化をもたらす可能性がある
- 出生数増加のために政府は、「子育て支援の充実」、「女性の社会進出の促進」、「ワークライフバランスの改善」など、様々な政策を推進する必要がある
- 民間企業でも「子育てがしやすい企業」を前面に出して社員の「忠誠心」と「定着」を図ることができる
この先、国内の人口が減り、生産年齢人口が減り、産業が縮小し、地方に若者が少なくなり、国力が衰えてくる。まるで悪夢のような話ですが、最近の円安を見れば不思議ではないと思います。
この記事を読んでいる20代~30代の方は今からでも遅くはありませんので、グローバル化に対応するため英語学習をおすすめします。
日本の人口が減り、国内の経済が傾いたとしても英語が話せれば世界に飛び出て生き抜いていけるのです。
英語が話せるようになるデメリットはありません。この機会にぜひリスキリングの候補に入れてみてください。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。